本当?島根には法事パンがある
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パンの知識・教養

本当?島根には法事パンがある2018.11.26

島根には、法事に行くと「法事パンがもらえる」という風習があります。

「え、法事って、饅頭や和菓子をもらうのが一般的ではないの?」と名古屋在住の私も思いましたが、島根では昔からの伝統なのだとか。戦後いつのまにかブームに火がつき、今では定番になったという「法事パン」。今回は、この不思議なパンについての特集です。

謎の風習!法事パン

島根県の東部と鳥取県の西部では、法事の時にパンを配る風習があると聞きます。
葬式といえば、引き出物でいただくのは普通=葬式饅頭

ですよね。
ところが島根では、法事パンが代わりに配られるというのです。デザインはいかにも法事らしい、蓮の花があしらってあります。

味はあんぱん、クリーム、メロン、ジャムパンいろいろな味がありました。とても不思議なこの伝統、どうして定着したのでしょうか?

なぜ法事に、パンなのか?

一体なぜ、法事にパンなのか?その由来を調べてみました。
まずは本来の伝承から、検証してみましょう。「法事で饅頭をふるまう」という行為は、江戸中期の文献に記録が残っているほど古の文化でした。

饅頭をふるまう=故人の所有していた財産を
残された人に喜んでもらえる形にして返す。

という意味があったそうです。
昔は甘い食べ物が貴重だったので、配ると喜ばれたのでしょう。地方の風習をのぞいてみると、あんこ餅の他に羊羹だったり、おはぎを配る地方もありました。

戦前は法事にあんこ餅をふるまっていた

おなじように戦前、島根県で法事にふるまっていたのは、あんこ餅でした。それがいつの間にか、法事パンに変わっていったというのがリアルな話のようです。
ですが法事の引き出物、本来の意味は「残された人に喜んでもらえる形」にしたいだけなので

時代とともに、あんこ餅よりパンをもらった方が、喜んでくれる人が多いならそれで良かったのでしょうね。戦後、いつの間にか島根では「法事に行くと、法事パンがもらえる」ことが伝統となっていきました。

最近では法事マドレーヌもあり!

調べてみたところ、最近では「法事マドレーヌ」「法事ケーキ」なんていう変わり種もあるそうですよ。もう、スイートでおいしければ何でもあり文化ですね。

基本はあんぱんですが、様々な味のパンを5〜10個入れる家もあるそうです。ひとつずつ法事パン用の蓮イラストが描いてある袋に入り、箱詰めされ、のしをかけられて完成です。パンは基本、昔ながらのレトロデザインなパンが多いのですが、時代に合わせてメロンパンやジャムパンも入れてくれます。

独自の文化を爆進する、島根の法事パン。
法事はとかく心が沈みがちなイベントですが、スイートなパンの中に優しい、癒しの効果があるのかもしれませんね。

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