世界のパン図鑑

包子〜中国発祥のパン〜2018.11.06

包子と書いて〜パオズ〜は、中国発祥のパン。
中に具が入っている、中国の伝統的な蒸し饅頭です。

ちなみに饅頭と、包子の区別ですが
・饅頭=中に具がない
・包子=中に肉や野菜などの具が入っている


という違いがあります。日本では「中華まん」という名前で普及している、パオズ。今回は、三国志に登場する諸葛孔明との歴史も秘めた、パオズについての特集です!

包子の起源は、三国志から!

パオズの起源は、中国史のはるか昔。
3世紀の三国時代、まで遡ります。

実は三国志で有名な、諸葛孔明が包子を発案した、というエピソードがあるのです。

225年。諸葛孔明が南蛮を征伐した帰り道、瀘水(ろすい)という川を渡ろうとしたところ、風雨のために川が渡れなくなっていました。

土地の人々は「この川には水の神がいて、時に荒れ狂います。水神を鎮めるためには、49個の人の首を捧げるといいでしょう」と告げました。これに対して孔明は、こう話したのです。

饅頭のおかげで、水神を鎮められた!

「合戦で多くの人が死んだ。もう一人も殺すことはできない」
そう呟くと、料理人を呼びました。
そして小麦粉をこね、人の頭の形に似せた食べ物を作らせると、中に牛や馬の肉を詰めるよう指示しました。

これを水中に投げて祈ったところ、川の氾濫は鎮まり、諸葛孔明ひきる蜀軍は、無事に川を渡ることができたのです。
すごい話ですね!

包子は、縁起のよい食べもの

この人の頭の代わりにお供えした食べ物が、のちに「饅頭」の由来になったのだと「三国志演義」に記されていました。
ちょっと怖い話ですが、そんな由来があったとは仰天しますね。


饅頭の「頭」という漢字は、そこから由来していると思うと、ちょっとドキドキです。実は人を犠牲にせずに、川を渡れたことにより「とても縁起の良い食べもの」として、今も大切に食べられていました。

パオズは子孫繁栄のシンボル

小麦粉を蒸した生地に、ひき肉や、小豆あんを入れて食べる「パオズ」。

日本で包子が普及したという正確な時代は、わからないのですが。最初は、本場中国のパオズが中華街などで、売られていたのです。しかし、日本人の口に合わず、なかなかブームに火がつきませんでした。

日本人向けの味にアレンジして、販売したところ大ブームとなったのが「新宿中村屋」というお店の、中華まん。
発売当時は、天下一品「支那饅頭」という名前で発売されていました。

日本でのブームは、中国旅行から

大正14年、新宿中村屋の相馬夫妻は中国旅行に出かけました。
そこで、はじめて包子に出会います。

ここで食べた包子は、日本人の舌には合わず、油っぽくてしつこい味でした。これを相馬夫妻は「日本人好みのサッパリとした味つけにすれば、売れるのではないだろうか?」
そう確信したのです。

そうして帰国後、日本人向けの味を研究しました。
パオズの生地の改良には、とても苦労したそうですが、中国人の職人を雇って作り方を学ぶと、とうとう昭和2年に発売されたのです。

それまではマイナーな食べ物であったパオズは、一気にメジャーとなりました。昨今の日本で包子は「中華まん」という名前でひろく愛される食べ物として、君臨しています。

今はコンビニでも手に入る、包子。
三国志の諸葛孔明から生まれた、歴史深い食べ物なのでした。

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