「食パン」名前の由来とは?〜日本発祥のパン〜
  1. 「食パン」名前の由来とは?〜日本発祥のパン〜

世界のパン図鑑

「食パン」名前の由来とは?〜日本発祥のパン〜2017.11.13

「食べるパン」と書いて「食パン」。
ジャムが入っているから「ジャムパン」、あんこが入っているから「あんぱん」という単純明快な他のパン名とくらべると、食パンの名前は不思議がいっぱいですよね。
どうして「食パン」と名付けられたのでしょうか?そこには面白すぎる由来がありました。
今回は、その名前の不思議に迫ります!

食パンの原型はどこから?

食パンの原型は、コロンブスがアメリカに辿り着いた頃、開拓者のためにつくられたパンがそれにあたる、という説がありました。分配など、まだ面倒な時代に「みんなで食べられるように」と効率を考えて生まれたデザインなのだそうです。上がふっくらと山の形になっている、長方形のイギリスパンのデザインは、当時の歴史的背景を含んでいるのですね。

食パンの名前のルーツ、5つ存在する

ざっくり分けると、「食パンの名前の由来」には、5つの説がありました。

1、本食パン説
2、主食パン説
3、消しパンとの区別説
4、酵母説
5、フライパンと区別するため説

それでは食パン、5つのルーツを紐解いてみましょう。

1、本食パン説

第二次世界大戦より以前に生まれたパン職人は、食パンのことを西洋料理の
『もと』となる食べ物の意味をこめて「本食パン」と呼んでいました。
これは今でも見かける山形食パン、角形食パンのことです。
今でもパン職人の中には、食パンのことを「本食」と呼ぶ方が存在します。この本食パンが省略されて、「食パン」になったという説があります。

2、主食パン説

主食パン説の中にも、2パターンの諸説がありました。

1、日本にパン文化が広まる前の時代、「海外では米ではなくパンが主食」というニュースが広まり
主食用のパン→食パン
という名前に進化したという説。

2、食パンの元祖は「ヨコハマベーカリー」という店の、イギリス風の山形および、角形食パンといわれています。石窯で焼いたこの店のパンは大変おいしいと評判になりました。
逆に、これを真似した他店のパンは、まずくて酸っぱい不出来なものが多かったことから、明治時代のパンは酸っぱいパン=「スパン」とも呼ばれていました。

先に伝来したのは「食パン」だったのですが、あんぱん、クリームパンの方がおいしいと評判になり、食パンは不出来なパンの店が多かったために、菓子パンの方が先に、時代の波に乗りました。
菓子パンのあとに、イギリス風の大型型焼食パンの流行がきて、菓子パンとはちがう「主食用のパン」という意味で「食パン」と名付けられた、との説があります。

3、消しパンとの区別説

美術の木炭デッサンをするとき、今でも消しゴムのかわりに食パンを使うことがあります。
理由は、消しゴムよりもやわらかく、紙を傷つけないからです。食パンは油が少ないため、消しても油染みすることがないという利点がありました。
この消しパンと区別するために、「食パン」という名前が生まれたという伝承もありました。

4、酵母説

食パンは酵母(イースト)をつかって作ります。ふわっと膨らんだ生地の中をよく見ると、スキマがありますよね。この穴は酵母が食べた跡なので

酵母に食べられたパン=食パン
という名前がついた、という説がありました。

5、フライパンと区別するため説

フライパンという名前は、英語でどんな意味なのでしょうか?

フライ=焼く、揚げる
パン=鍋
という意味がありました。キッチンで活躍するフライパン。食パンも、キッチンで登場しますよね。
この二つの「パン」をわかりやすく分けるために、「食パン」という名前が誕生した、との説も存在しました。

5つの説はそれぞれに理由がある

食パンには、とにかく名前の由来だけでもたくさんの伝承が存在しました。
今の所ハッキリと断言できる説はないようですが、どれも、それぞれに歴史と理由があっておもしろかったです。あらためて5つの説に思いを馳せながら、食パンを味わってみてはいかがでしょうか。

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