あんドーナツ〜日本発祥のパン〜2017.11.16
TBSドラマ「仁」に、あんドーナツが登場していたことを知っていますか?
調べたところ「あんドーナツ」は、江戸時代から庶民にも愛される食べ物としてリアルに存在していました。
今回は、意外に長い歴史を誇る「あんドーナツ」についての特集です。
はじめの「餡」は塩味の肉
あんこの「餡」には、「餅や団子の中にいれる具のこと」という意味があります。
発祥は中国で、「あん」は昔、羊や豚などの肉をあえた詰め物のことを示していました。塩味の肉こそが「あん」と呼ばれる代物だったのです。
ですから、あんこも初めは塩で味付けした「塩あん」でした。
今のようにスイートな甘さのあんこが登場したのは、なんと室町時代だったのです。
砂糖の国内生産がひろまった江戸時代になってやっと、「砂糖あん」が主流となったのでした。
また、現在ある和菓子のほとんどは、江戸時代に作られたと言われています。
あんドーナツ、和菓子か洋菓子か
あんドーナツは和菓子でしょうか?
それとも洋菓子でしょうか?
答えは、和菓子でした。
和洋折衷にもみえますが、分類でいうと「餡」をつかったスイーツなので、やはり和菓子に分類されます。
ドーナツの由来はヨーロッパから
ここでドーナツについての歴史にも触れてみましょう。
ドーナツの言葉には
「ドゥ」=生地
「ナッツ」=ウォールナッツ、落花生
こういった意味がありました。元々は、生地にクルミなどの木の実が練りこまれていたのです。
17世紀頃、オランダでクルミを真ん中に乗せた、揚げたスイーツが食べられてたという文献があります。これが最初のドーナツだと言われています。
また1809年に、作家ワシントン・アーヴィングが出版した作品には、17世紀、オランダ系移民の暮らしを綴った文章がありました。
「食卓で誇らしい事とされているのは、ラードで揚げた甘いドゥ(パン生地)のボールが山盛りで、いつも出されることだった。
その名前はドーナッツ、またはオイル・ケーキと呼ばれた」
このような形で、作中においしそうなドーナツが登場しています。
百人一首には粒あんの歌がある
小倉百人一首には
「小倉山、峰の紅葉ばこころあらば今ひとたびのみゆきまたなん」 という、藤原忠平の歌があります。これは「小倉の粒」を紅葉の鹿の子模様にかさねて
「今ひとたびの……」=「もう一度食べたい」
という思いを綴った一句だという、現代語訳がありました。
千年前の歌に詠まれるほど、貴族にも愛されたお菓子「餡」。
あんドーナツ一つに、受け継がれた歴史の深さを知ると、より美味しさも深まりますね。
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