スラヴスキ・コラチュ〜セルビア発祥のパン〜2020.05.03
セルビアは、ヨーロッパの中でも色とりどりの文化が行き交う、
「東西文明の十字路」と呼ばれています。
長い歴史の中で、破壊と再生をくり返してきた、エキゾチックなこの国には、独自の文化やおもしろい風習が、「パンの歴史」にも残っていました。
今回は、スラヴァの儀式で食べるという
まるでケーキのようなパン「スラヴスキ・コラチュ」の特集です。
それは守護聖人の祭典
セルビアでは「家族のための守護聖人の祭典」、という日があります。
この日を「スラヴァ」と呼びます。
セルビアでは各家庭にそれぞれ「守護聖人」が存在するのだそうですよ。すごいですね! ジョジョでいう、スタンドみたいなものでしょうか?
これが、どうパンと繋がっていくのでしょう?
ちょっと面白そうなので、調べてみました。
セルビアの守護聖人
・セイント・ニコラ(水夫の守護聖人)
・セイント・ミカエル(天使)
・セイント・イリヤ(商業の守護聖人)
・セイント・サバ(学問・学童の守護聖人)
・セイント・トリフーン(ワイン・穀物の守護聖人)
・セイント・ペトゥカ(病・貧困を救済する守護聖人)
なんだか、マンガみたいな設定ですね。
この守護聖人は20種類以上も存在し、各家庭で守護する聖人が違うのだそうです。年に一度の「スラヴァの日」は、この守護する聖人をたたえる日。
この家庭を守る「守護聖人」は、父から息子へと継承します。
なかなか、ときめく設定ですね♪
スラヴァを祝う、ケーキのようなパン
「スラヴァの日」は、1、2日の間開催します。この日は親戚や友人、仕事関係者などのゲストを招待して、パーティ料理をふるまいます。
この日、セルビアの人々は皆、実家に帰ってお祝いします。
このしきたりは、男から男だけに継承され、父が存命のうちは継承されることはありません。うーん、まるで一子相伝の秘術。
どこか、ジャンプ感が漂いますね。
この特別な日にロウソクを灯し、お祝いに食べるのが「スラヴスキ・コラチュ」。丸いケーキのようなデザインの、華やかなパンなのです。
パンの表面には、ハトや薔薇など聖人にまつわるシンボルが、美しく飾られます。祝宴にふさわしいゴージャスなパンは、牛乳たっぷり。あま〜い香りに包まれて、食卓をおいしく彩るのです。
赤ワインを垂らして食べるパン
守護聖人をたたえるスラヴァの日
セルビアでは家族で早朝に、教会へ行きます。
「スラヴスキ・コラチュ」というパンに、牧師が十字の切れ目を入れると、そこへ赤ワインを注ぎます。パンを半分にカットすると、牧師と自分用に切り分けて持ち帰ります。このパンを自宅にて、ゲスト達と家族とで一口ずつ食べるのが、セルビアの伝統的風習。
冬はマイナス10℃という極寒のさなか、家であたたかく、ゲストと家族で守護聖人の日を祝います。
やわらかな笑い声が夜空に響くこの日
セルビアの人たちはスラヴスキ・コラチュを食べて、互いの健康を祈るのでした。
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