ロバのパンを知っていますか2017.07.21
皆さんは「ロバのパン」を耳にしたことがありますか?
今ではあまり聞かれなくなりましたが、昭和30年代ではとてもポピュラーなものでした。
今回はそんなロバのパンのお話です。
ロバのパンって?
ロバのパンという商品名だと思う方も多いでしょうが、実は「馬、もしくはロバに馬車を引かせて、街中を移動しながら売られたパン屋」のことです。今でいう「移動パン屋」のような感じでしょうか。
その後、高度成長期を迎えると車道で事故が起きるなどしたため
自動車での販売に切り替えられました。
ロバのパンのルーツとは?
ロバを使って移動販売を行ったのは、昭和初期でした。兵庫県朝来市で、パンではなく米の移動販売でした。これがロバのパンのルーツと呼ばれています。そして遅れること数年、兵庫県から遠く離れた北海道札幌市で「ロバパン石上商店」が開業。
札幌で開催された博覧会に出展するために、中国からロバを買い付け、「子どもの目を引くだろう」という思惑で会社を立ち上げたのです。このロバ移動車では蝶ネクタイを締め、
競馬の騎手の扮装をした御者が営業を行いました。
こちらの石上商店は現在でも北海道シェア2位の「製パン会社ロバパン」として存続しています。
ロバのパンはフランチャイズチェーンだった!
太平洋戦争が終わった昭和28年、株式会社ビタミンパン連鎖店本部という京都市に本社を置く蒸しパンの移動販売を行っていた会社が、浜松市と京都市で馬による移動販売を開始しました。
これがいわゆる皆さんがご存じの「ロバのパン」です。
ただし、ロバは馬より体力が弱いため、ポニー(木曽馬)が使われました。
見た目がかわいいことから子ども受けもよく、「連鎖店」と称しているとおり、
ビタミンパンは全国に150店舗のチェーン店を抱えるまでになりました。これは今でいうフランチャイズチェーンと同じような形態だったと言われてします。
「パン売りのロバさん」はテーマソング
ロバのパンが移動販売されるとき、必ずといっていいほど流されていたのが、「パン売りのロバさん」というイメージソングです。この歌のイメージは元々ビタミンパンではなく、東京の移動販売業者でしたが、
発売されると同時に全国の連鎖店に配布しました。
その数5,000枚以上!いかにロバのパンが身近なものだったかがお分かりいただけるでしょう。このイメージソングが流れると「ロバのパンが来た!」と家から飛び出してくる子どもも少なくなかったそうです。
現在のロバのパン
ロバのパンがスタートしてから60年余りが経過しますが、現在のロバのパンはどうなっているかというと・・・・最盛期160店舗を抱えたチェーン店でしたが、現在は岐阜県、三重県、高知県、徳島県だけになってしまいました。あとは本部の京都府のみです。
しかし、存続しているという事はロバのパンの目玉商品「蒸しパン」はまだ食べられますし、様々なショッピングモールに移動出店するなど、現在のニーズにマッチしながら、皆に愛されているようです。
皆さんも一度見かけたらお手にとってみてはいかがでしょうか?今は自動車の移動販売ですが、懐かしい気持ちはよみがえってくると思いますし、初チャレンジの方は、ご家族の方と思いを共有なさってみて下さいね。
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