あんパンを世界で初めて作ったパン屋さん
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パンの知識・教養

あんパンを世界で初めて作ったパン屋さん2016.09.12

世界のパン図鑑では、世界中のパンを紹介してまいりました。古いパンでは約7,000~8,000年前から食べられているものもあり、人類がパンとともに生きてきたことがわかります。

でも実際に日本でパンが広まったのは、世界的に見れば最近のことです。

初めて日本にパンがやってきたのは16世紀のことで、日本を訪れたポルトガルの宣教師によって伝えられました。しかし当時のパンは固くてパサパサしており、お米や玄米を主食としていた日本人にはあまり受け入れられるものではありませんでした。

日本で始めてパンを作った人

19世紀(1842年)に江川太郎左衛門という人物が私邸で大規模なパンの試作を始めたことが始まりと言われています。
しかし、この時パンの製造は、大衆向けの食品として作られたのではなく、アヘン戦争後のイギリス襲来に備え、兵糧として製造されたものでした。

木村屋総本店

明治2年(1869年)には、当時の江戸、東京・芝の日影町(現在の港区新橋付近)でベーカリー木村屋総本店が開業しました。6年後の明治8年、木村屋総本店が世界初のあんパンの開発に成功しました。これが今や世界中で有名なあんパンのルーツになります。あんパンは日本発祥のパンなのです。

あんパンの父 木村安兵衛

木村安兵衛は常陸国河内郡田宮村(牛久市)に生まれた武士でしたが、江戸幕府が倒れ、明治維新によって失業に追いこまれていました。安兵衛は仕事を探しに江戸に出て、新しい生き方を探るなかで、パン屋の開業にチャレンジしました。実際にパン屋としての仕事をしたのは、当時18歳の次男英三郎でした。

火事によるお店の焼失

お店を営みながら連日パン作りに励みました。これだ!と思って完成したパンも思うように売れない。苦しい生活を強いられていましたが、ある日火事によって店を焼失してしまいます。

あんパン発明

お店が消失してもパン作りを諦めませんでした。再起を図るため銀座尾張町に進出し、日夜パン作りに励みました。しかし、当時の日本では皆が皆パンを食べるわけではありませんでした。そんなある日、パンの中にあんを入れてみてはどうかと思いつきます。

そこから改良に改良を重ね、やっとの思いで作ったあんが入っているパンを食べ、これまで世の中にあるパンとは違い新しい味を確認しました。
安兵衛はそのパンを「あんパン」と名付け、売り出したのです。

明治天皇へ御献上

ある日お役人が木村屋のあんパンを目に留め、「陛下に召し上がってもらおう!」と持ちかけました。その日から木村屋では特別な『あんパン』を召し上がっていただくため、試行錯誤を重ね、パンの中心に桜の塩漬けが乗ったあんパンを作りました。明治8年(1875年)4月4日に木村屋の桜あんぱんが明治天皇に献上され、天皇・皇后陛下ともにお気に召されてようです。

全国的に広がる

明治天皇のお気に召したことから、あんパンは多くの人に認知されることとなり、その後全国的に一般庶民へと広がっていきました。この木村屋は今でも営業しており、陛下に献上したは『桜あんパン』は今でも人気商品だそうです。

以上、あんパンを世界で初めて作ったパン屋さんでした。

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