カンパン〜地震に備えた保存食の歴史〜
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パンの知識・教養

カンパン〜地震に備えた保存食の歴史〜2017.07.12

最近、震度五強以上の地震や、記録的豪雨が頻発しています。災害は人ごとではなくなってきました。皆さん非常用持ち出し袋は用意されていますか?その中には「カンパン」は入っていますか?今回はその「カンパン」についての歴史を紐解いていこうと思います。

カンパンの歴史はとても古い

カンパンは「乾パン」「堅パン」とも表記されますが、
今回は「カンパン」で統一していくことにしましょう。

カンパンの起源はとても古く、ヨーロッパではローマ時代に兵糧として支給されていた記載があります。これがカンパンとなると、約2000年前にはカンパンが誕生していたことになります。

日本におけるカンパンの始まりは、1842年、反射炉で有名な伊豆韮山の代官、江戸太郎左衛門担庵公が非常時に備え、保存できる軍用の携帯食としてパンを焼き始めたものと言われています。[

]外国文化の取り入れに熱心だった当時、水門藩は「兵糧丸」、長州藩は「備急餅、薩摩藩は「燕餅」と名付けた軍用パンを作り、非常時に備えていたのです。

このように、カンパンの起源はとても古く、歴史あるものなのです。

カンパンは軍用品だった

江戸時代では軍用保存食として製造されていたカンパンですが、明治時代になっても軍用品として製造されることになります。明治期の大日本帝国陸軍が欧米の軍用ビスケットを改良して作った携行口糧で、「重焼麺麭」(じゅうしょうめんぽう)と呼ばれました。

これは「重焼=回数を重ねて焼いた」「麺麭=パン、すなわちビスケットのこと」という意味が含まれています。しかし、この時代のカンパンは非常に大きく、そして堅かったということが記録されてします。

また、日本人の味覚にも合わず、連続して飲食するのには不向きだったとのことです。これらの課題を克服すべく、様々な改良点が掲げられましたが、結局日露戦争中はこの「重焼麺麭」が用いられたと記録が残っています。

カンパン、小型化へ

日露戦争後、官民が協力してカンパンの改良が行われました。使用する小麦の種類から見直し、衝撃にも耐えられるような物を目指して改良が進められました。こうして大正期になると、きちんとした携帯糧食の内容が整いました。

・原料:小麦粉、米粉、胡麻、砂糖、食塩、馬鈴薯、ホップ
・規格:2個で1食となる。60個を箱に収容する。箱は木製で、内部にブリキの内張を施している。1梱包が24.75kg、うち正味内容量が13.5kg。箱の寸度は縦67cm、横38cm、高さ42cmである

かなり細かく定められてますね。
しかし、このおかげで品質が安定して供給されることになりました。

そして現在のカンパンには氷砂糖が入っていますが、1931年に金平糖が同封されたことが始まりです。これは金平糖(氷砂糖)唾液の分泌を促し、パサパサのカンパンを食べやすくするという狙いがあります。

自衛隊のカンパン

現在、自衛隊でもカンパンは採用されています。大型と小型があり、大型は海上自衛隊で採用。チューブに入れられた水飴と共に配布されます。
小型カンパンは陸上自衛隊と航空自衛隊で採用されており、陸上自衛隊のカンパンには金平糖15グラムが同梱されています。

賞味期限は、大丈夫ですか?

災害時にはカンパンには必ずお世話になることでしょう。
来たるべき大地震や災害に備えて、非常持ち出し袋にカンパンが入っているか、そして賞味期限は大丈夫かどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか?

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